2015年3月21、22日、鹿児島県霧島市のきりしま子ども発達支援センターで2日間のセミナーを行いました。参加者は同センターのスタッフと近隣の療育関係者が中心でしたが、他県からの参加、また、保護者の方の参加もありました。

セミナーでは、SCERTSの背景、概要、特徴の解説や実際に映像を見てのアセスメント演習を行いました。
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↑ 会場の様子(1枚目:講義の様子、2枚目スコアリング演習の様子)
↓ 講義スライド(例)

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参加者の感想をいくつか紹介させていただきます。

Q:このセミナーで何を学びましたか?
「いろいろな考え方、支援方法を一人一人に合わせて行わないといけないということを改めて考えさせられた」
「SCERTSの柱である社会コミュニケーション、情動調整、交流型支援で自閉症児を考えていくのはとてもおもしろかったです。また、包括的に考えていくのはわかりやすかったです」
「支援者、子どもの両者の相互作用をふまえたアセスメント」
「それぞれの療育ではなくチームを組んで療育していくことの必要性」
「自閉症児の親の立場で参加しました。日常のルーティンの中での支援を重視するSCERTSモデルは親の立場から子どもに接する指針となります」
「お子さんやご家族の方々と関わる時の細やかな視点をたくさん教えていただきました」
「能動的に活動に参加することが発達を促進していくということ」
「ASD児の療育方法論の情報の乱用が目立ってきている現状の中で子どもを一人の人間として成長を支える包括的なフレームワークを学べて良かったです。子どもを支援者の得意な支援ツールにあてはめて指導、支援してはいけないことを改めて感じました」
「自閉症児にとって、自発的に自然な文脈の中で活動できるように支援する為に子どもに関わる全ての人が対象となり、サポートしていくことの大切さを改めて感じました」
「自然な療育場面でのアプローチ法は今まで実践することが少なかった為、今回はスコアリングも学べ、とても参考になりました」
「生活をデザインしていく上での必要な観点と様々な支援法との柔軟な使用など改めて目的を考えさせられる研修でした」
「子どもを見る視点が広がったように感じます。また、他職種との連携の大切さも改めて感じたのでより一層大事にしていきたいと思いました」
Q:これからの支援に活かせそうな点がありましたか?
「チームアプローチのツールとして利用できそう」
「アセスメント機能と指導内容の両側面を示しているSAP-Oフォーム」
「情動調整のことをもっと細かくみていきたいと思いました」
「学校生活の日常活動にSCERTSを取り入れることで、授業の質が改善すると思いました」
「発達段階にそった情動調整の方略」
「SAP-Oフォームを使用した支援者同士の連携」
「自分の支援を見直す機会となりました」
「共同注意や情動調整を促していく関わり方」
「子どもの様子だけでなく、支援者側の課題が明確になることで多職種の方々の共通認識が生まれ、統一した援助ができると考えました」
「SCERTSの理論は子どもの相談支援事業のケアプランを立てるマネージャーが知っていると家族中心のケアプランをたてられるのではないかと思います。」
「支援者側の評価ができるのはすごくいいと思いました」
「情動調整の視覚支援を活かそうと思います」
「現在、社会パートナー段階の自閉症児を担当しています。今までの療育は行動療法でのアプローチを行っていたので、今後はSCERTSの項目なども取り入れ、視覚的なアプローチも取り入れていきたいです」
「SAP-Oを自分で使ったりすることは難しいので勉強会に参加しながら知識を増やしていきたいと思います」
「1人の利用者さんを支援するのにパートナー(支援者)への目標もあり、すごいなーと思いますし、何をしなければならないのかと考えやすいし、取り組みやすいなと思いました」
「SCERTSモデルを使って親へ説明することで、自分も保護者もよりその子を理解して関われいくのではと思います」
その他
「グループディスカッションをすることで、様々なメンバーの意見を聞くことができ、貴重なセミナーとなりました」
「ビデオのグループミーティングがたくさんできて、とても実践的で良かったです」
「グループで話し合うことで自分の気付かなかった視点、考え方を知ることができ、よかったです」
「とても分かりやすい解説とスライドで本を読んだだけでは理解できなかった事が少しずつ理解できたと思います」

 

企画、運営していただいたきりしま子ども発達支援センターは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士、臨床心理士、看護師が子どものニーズに応じて療育を行っています。

SCERTSは、様々な分野の知識・技術を尊重し、チームアプローチとして最も機能するようにデザインされています。様々な専門スタッフが働いている同センターは、パワフルな施設長さんを中心としたもともと素晴らしいチームですが、SCERTSをみんなが学んだことでさらなるチームアプローチ、トランザクション、エンゲージの促進につながれば幸いです。企画と運営に深く感謝するとともに、さらなる発展を心から期待しています。

(SCERTS研究会:吉田仰希)